テナントを借りて店舗やオフィスを運営されているオーナー様、契約期間満了や移転の際に必ず直面するのが原状回復工事です。
「どこまでが自分の負担になるの?」「費用を抑えるにはどうすればいいの?」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、建設会社の視点から、テナントオーナー様が原状回復工事で損をしないための重要なポイントを解説します。
原状回復工事とは?基本を理解しよう
原状回復工事とは、賃貸借契約に基づいて、テナントが借りた物件を契約時の状態に戻す工事のことです。しかし、この「契約時の状態」の解釈が、トラブルの原因になることも少なくありません。
重要なのは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしつつ、最終的には賃貸借契約書に記載されている内容が最優先されるという点です。
多くの場合、以下の工事が含まれることが多いです。
- 内装の解体・撤去: 間仕切り壁、造作家具、パーテーションなどの撤去
- 床・壁・天井の補修: 破損個所の修繕やクロス、塗装のやり直し
- 設備機器の撤去: 独自の空調設備、給排水設備、照明器具などの撤去
- クリーニング: 全体の清掃
「借りた時の状態に戻す」というのは、通常使用による損耗(経年劣化)は含まれないのが一般的ですが、特約で定められている場合はその限りではありません。
テナントが損しないための5つのポイント
原状回復工事で想定外の費用がかからないよう、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
1. 賃貸借契約書を徹底的に確認する
これが最も重要です。契約書には、原状回復の範囲や内容、負担区分に関する条項が必ず含まれています。
- 原状回復の範囲: どこまで工事が必要か、特約事項がないか。
- 指定業者の有無: オーナー指定の業者に依頼する必要があるか。
- 費用負担: 通常損耗や経年劣化の範囲はどこまでか。
疑問点があれば、契約前に必ず貸主や不動産会社に確認し、書面で残しておくことが賢明です。
2. 入居時の状態を記録する
入居する前に、物件の状態を写真や動画で詳細に記録しておきましょう。特に、元々あった傷や汚れ、設備の不具合などはしっかりと残してください。
この記録は、退去時の原状回復の範囲を巡るトラブルが発生した際に、非常に有効な証拠となります。
3. 早めに専門業者に相談し、見積もりを取る
退去の目処が立ったら、できるだけ早い段階で原状回復工事の実績がある建設会社や工務店に相談しましょう。
- 現地調査: 専門家による現地調査で、具体的な工事範囲や内容を把握してもらいましょう。
- 相見積もり: 複数の業者から見積もりを取り、内容と費用を比較検討してください。詳細な内訳が記載されているか、追加工事の可能性はどの程度かなどを確認しましょう。
- 施工計画: 工事期間やスケジュールも事前に確認し、余裕を持った計画を立てることが大切です。
私たち株式会社MURASEは、テナントオーナー様の立場に立ち、適正な価格と高品質な施工を提供することをお約束します。
4. 不要な造作はなるべく避ける、または撤去費用を考慮する
店舗やオフィスの使い勝手を良くするために、内装に独自の造作(間仕切り、カウンター、棚など)を施すことはよくあります。しかし、これらの造作は退去時に撤去費用がかかります。
造作を計画する段階で、将来的な原状回復費用も考慮に入れるようにしましょう。貸主と交渉し、造作の一部を残置できるか相談してみるのも一つの手です。
5. 貸主との綿密なコミュニケーション
原状回復工事は、貸主との協力が不可欠です。
- 事前に相談: 工事の計画や日程、工事内容について、貸主に早めに相談し、合意を得ておきましょう。
- 現場確認: 工事完了後に、貸主とともに最終確認を行い、問題がなければ引き渡しを完了させましょう。
スムーズなコミュニケーションは、不要なトラブルを避け、円満な退去に繋がります。
まとめ
原状回復工事は、テナントオーナー様にとって大きな負担となる可能性がありますが、事前の準備と正確な情報収集、そして信頼できる建設会社との連携によって、その負担を最小限に抑えることが可能です。
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、賃貸借契約書の確認から始まり、計画的な行動を心がけてください。
原状回復工事についてご不明な点やご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。テナントオーナー様の立場に寄り添い、最適なプランをご提案させていただきます。